迷惑と大迷惑


若いころは「人に迷惑をかけなければ自分のポリシーに従って生きてよい」と思っていた。
ある日、大学のサークルの先輩と部室でふたりきりになって、わたしのその考えを表明したところ、その先輩は、「ま、少しずつ迷惑をかけたりかけられたりというのが自然じゃね?」という感想を述べた。
迷惑をかけることが前提という考え方と、歳がそんなに離れていないのにだいぶ人生の先を行っているような印象に、わたしは大きなショックを受けた。
実は、その先輩としゃべったのはそのときだけだったような気がするのだが、この会話が30年くらい経っても今でもとても心に残っている。

そのサークルはギターの弾き語りサークルで、ユニコーンの曲もよく歌っていた。
だが、代表曲の「大迷惑」は遠距離恋愛がテーマの曲であり、①片思い→②近距離恋愛→③遠距離恋愛という三段階のうち、一段階目をなかなか突破できなかったわたしには、まったく感情移入できない曲であった。
でもよく歌っていた。


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