高校に入学して一番最初の数学の授業の思い出。
わたしは中学3年生のときに急激に数学の成績がアップして、そのパワーを原動力にして地域一番の進学校の高校に入学することができた。
なので、高校でも、自分の数学のちからがどこまで通用するかドキドキしながら初めての授業に臨んだ。
数学の先生はまだ20代のフレッシュな男の先生で、最初の授業は全体のレクレーションみたいなものだったのだが、その授業の終盤で、口頭で、IQテストみたいな問題を出題してきた。そして、わかった人は直接演壇まで出てきて「笑っていいとも」のコーナーみたいに小声でタモリ(先生)に耳打ちするようにという指令を出してきた。
しばらくすると、問題を解けた生徒がひとりまたひとりと演壇に向かってゆき、正解の生徒はガッツポーズをして・・・という番組が、時間切れの授業が終わる時間まで続いた。
わたしはまず問題の意味がわからなかった。
入学したばかりでまだまわりの席の人ともそんなに仲が良いわけではないから聞くこともできなかった。
せめて問題の意味だけでもなにかわかればいいと必死に記憶を辿ったけれども、結局なにもできないまま時間切れとなった。
数学に対する自信を失った。
この20代の先生はのちに下の学年で担任を持って、そのクラスをまとめることができずに登校拒否になってしまうので、もともと教師に向いていない人だったのかもしれない。
しかし、高校に入学したばかりのわたしにはまだそんなことはわからなかった。
得意の数学の自信をへし折られて、文系への道を一歩踏み出すことになるのである。