夏の思い出を何か書こうと思ったら、小学校のとき初めて海に行ったことや高校生のときに友だちと一緒に京都に旅行に行こうと計画していたのに仲間割れして結局ひとりで行ったことなど、いろいろなことが思い出の引出しから引っ張り出されて、特別好きな季節というわけではないのにけっこういろいろ覚えているものだなあと思った。
中でもよく覚えているのは、2007年の夏である。
フルパワーの夏であった。
28歳のとき初めて正社員として就職できた清涼飲料会社に入って4年目を迎え、いろいろな仕事ができるようになって、飯田営業所でけっこう責任のある仕事を任せられていた。
夏の暑い時期はジュースがよく売れて、急な注文が入ったり在庫が品薄になったりして、とにかく忙しかった。
忙しすぎて、休む時間もなくて、その会社の従順な飼い犬だったはずのわたしは、手に負えない野良犬のような危険な存在になっていった。
ずっと仕事のことだけ考えて、まわりのかたがたを支えることをしてきたつもりだったのに、いつのまにか、まわりのひとすべてを敵に回すような精神状態になってしまっていた。
ホントにどうしようもない夏であった。
あとから振り返ると、あの大変だった夏があったおかげで、そのあとに訪れるまた違った種類のピンチもわりと乗り越えやすくなっていったと思うのだが、こういう経験をぜひしたほうがよいと若者に薦めようとはあんまり思わない。危険だ。
結局サラリーマンは自分はあんまり向いていないと思って、その1年半くらいあとに会社を辞めて公認会計士を目指すことになるのだが、散々迷惑をおかけした当時の飯田支店の支店長が、「がんばれよ!」というメールをくれたのは、とてもとても嬉しかった。
